2009年11月14日

クモの糸の驚異と、100万匹が作った「黄金の織物」

http://wiredvision.jp/news/200911/2009111222.html

大量の野生のクモから採取された糸で作られた貴重な織物が、9月23日(米国時間)からニューヨーク市のアメリカ自然史博物館で展示されている。

織物.jpg

画像:アメリカ自然史博物館


独特の金色をしたこの織物を製作するには、4年間と大量の人員が必要だった。マダガスカルの電柱からコガネグモ科のクモを集める作業に70人が取り組み、それとは別に12人が、クモ1匹から約24メートルの糸を慎重に引き出す作業にあたった。

こうして作られた11フィート×4フィート(約3.4メートル×1.2メートル)の織物は、野生のクモの糸でできたものとしては、現存する唯一の大きな布地だ。

このプロジェクトは、織物の専門家であるSimon Peers氏とNicholas Godley氏が共同で主導した。Peers氏がクモの糸で織るというアイディアに至ったのは、フランス人宣教師のJacob Paul Camboue氏について学んだのがきっかけだった。Camboue氏は1880年代〜90年代にマダガスカルで、傷つけることなく同時に24匹のクモから糸を引き出すことができる小型の手動機械を製作し、1898年にはパリ万博で「クモ織物」を展示した人物だ。今回のプロジェクトでは、その手動機械の拡大判レプリカを作った。

最終的に、コガネグモ科のメスのクモ100万匹以上から糸が収集された。対象となったクモは、マダガスカルの全域に多数生息しており、豊かな金色の糸を出すことが知られている。このクモは刺すので、採集には注意が必要だった。また、雨期にしか糸を出さないので、作業は10月から6月にのみ、行なわれた。

手動式の機械を使ってクモの糸を引き出し、クモの糸96本からなる糸をつくる作業は、クモの収集とは別の12人が行なった。糸を出し切ったクモたちは、野生の環境に戻された。Godley氏によると、野生環境に解放されたクモは、また糸を蓄えるという(糸を出すまでに約1週間かかるが)。

クモの糸の独特な性質は、研究者の間でもずっと興味がもたれていた。クモの糸は鋼鉄やケブラーより頑丈で、さらに柔軟性でははるかに勝っている。通常の長さから40%、途切れさせずに引き伸ばすことが可能だ。

[ケブラーは、1965年にデュポン社が開発した樹脂。高強度・高耐熱性であり、同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度を持つ。プラスチックの補強、船体、飛行機、防刃ベストなどに使用されている。クモの糸の強度は、同じ太さの鋼鉄の5倍、伸縮率はナイロンの2倍ある。鉛筆程度の太さの糸で作られた巣を用いれば、理論上は飛行機を受け止めることができるとされる]

ただ残念なことに、クモの糸は大量生産が非常に難しい。まとめて飼育するのが簡単なカイコと違い、クモには一緒に閉じ込めると共食いする習性があるからだ。[新鮮な生餌が必要で、クモの数が適当でないと共食いを起こしやすい]

また、実験室でクモの糸を作るのが難しい理由の1つとして、糸が最初は液体タンパク質である点が挙げられる。クモはまず、腹部にある特別な腺[出糸腺]に液体タンパク質をつくる。その後、出糸突起で液体タンパク質に物理的な力を加え、分子構造を再構成することで、固体のクモの糸が作り出される。この仕組みを人工的に作り出すことに、まだ完全には成功していないのだ。

クモの遺伝子をバクテリア(あるいはウシやヒツジ)に注入し、クモの糸の生産を試みた研究グループもある(日本語版記事)が、今のところ、完全な成功には至っていない。

http://wiredvision.jp/archives/200201/2002012506.html

[リンク先の記事は、世界初の合成クモの糸『バイオスティール』について紹介している]
(2009年11月12日 WIRED NEWS)





(´-`).。oO(間違いなく世界で一番手間のかかった織物ですね・・・)
posted by まろんど at 06:48| Comment(0) | TrackBack(0) | クモ・ダニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月08日

現存最古、1億4000万年前の「クモの巣」

http://wiredvision.jp/news/200911/2009110421.html

1億4000万年前の「クモの巣」.jpg

Image:Mila Zinkova/Wikipedia Commons


現在確認されている「世界最古のクモの巣」は、英国サセックスの海岸で採取されたものだ。発見されたときは、古い琥珀の塊に閉じ込められていた。

この希少な琥珀化石が見つかったのは2008年12月のことだ。専門家によって、琥珀にクモの糸の切れ端が含まれており、現在のコガネグモ科の祖先が、約1億4000万年前に吐き出した糸であることが確認された。

スピノサウルスやプシッタコサウルスが地上を闊歩していた白亜紀前期の、琥珀化石におけるクモの糸の実例はこの発見が初めてだ。

オックスフォード大学のMartin Brasier教授(古生物学)ら研究チームは、12月号の『Journal of the Geological Society』に、「クモの糸は相対的にこわれやすい物質であり、琥珀に埋没するということでもない限り、化石として残ることはめったにない」と書いている。激しい野火の際に、クモの糸を含む有機物質に「防腐処置」がなされた、というのが研究者たちの推測だ。針葉樹の炭化した樹皮から樹脂がしみ出して琥珀となり、その後、洪水で海岸まで流されたというわけだ。

クモの糸と、粘液の小滴.jpg

クモの糸と、粘液の小滴。Image:Martin Brasier


琥珀を薄くスライスして1枚1枚を強力な顕微鏡で観察したことで、この古いクモの糸には、現在のクモの巣と共通する特徴があったことが判明した。例えば、クモの網を保持し、また獲物を捕らえるのに利用されている、粘液の小滴の存在が確認された。

Brasier教授によると、この粘性の小滴は、飛ぶ昆虫を捕らえるのにより適した網を、クモが張りはじめていたことを示唆するものだという。 Brasier教授はWired.comへのメールで次のように語っている。「興味深いのは、1億3000万〜1億4000万年前には、飛ぶ昆虫とキクイムシに、大規模な[適応]放散が起きていることだ」「となると、ここから、クモと昆虫の共進化が見えてくるのではないだろうか」。[適応放散(adaptive radiation)は、生物の進化に見られる現象のひとつで、単一の祖先から多様な形質の子孫が出現することを指す]

琥珀には、クモの糸のほかにも、土壌中に生息する細菌も確認された。放線菌門(アクチノバクテリア)だ。
(WIRED NEWS 2009年11月 4日)





(´-`).。oO(コハクにはいろんなのが残るんですね・・・)
ラベル:古代
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2009年11月06日

「セアカゴケグモ」生息域拡大、宅地に迫る 東海地方

http://www.asahi.com/eco/NGY200910290006.html

 外来種の毒グモ「セアカゴケグモ」が、東海地方に生息域を広げている。すでに名古屋港や四日市港、その周辺部には定着しているとみられ、住宅地にも迫っている。命にかかわる恐れのある毒を持ち、大阪では市民の被害も出ているが、国や自治体の防除態勢が追いついていないのが実情だ。

セアカゴケグモのメス.jpg

セアカゴケグモのメス。背中の赤い模様が特徴だ=名古屋市港区、山吉写す


 広大な土地に工場やタンクが立ち並ぶ名古屋市港区の工業地帯。駆除会社の社員たちが側溝の金属格子を次々と持ち上げ、ライトを当てる。鉄骨や側溝の陰に、不規則な形の巣を張ったメスのセアカゴケグモがいた。黒い体で、背中にネクタイのような形の赤い模様がある。社員は薬剤を吹きかけ、処理した。

駆除作業をする業者.jpg

セアカゴケグモが生息する側溝で駆除作業をする業者=名古屋市港区


 東海地方では、国営木曽三川公園や中部空港、名古屋港金城ふ頭などで見つかったことが知られている。愛知県や名古屋市は、発見場所や数をホームページで公表しているが、保健所を通じて把握できたものに限られる。「企業や個人が通報する義務はなく、全体的な広がりまでは把握できない」(愛知県健康対策課)という。

 駆除業者による愛知県ペストコントロール協会の大橋武定専務理事は「伊勢湾を取り巻く国道23号、247号周辺までほぼ定着していると考えられる。三重県桑名市では住宅地でも目撃され、目立つ模様から子どもがうっかり触るのではと心配だ」と話す。

 東海3県では、人的被害はまだ報告されていない。しかし、95年に全国で初めてセアカゴケグモが確認された大阪府では、今年の被害は12件。庭の掃除中や、庭先に置いたスリッパを履いた時にかまれることが多い。臨海部だけでなく、新興住宅地でも重機や建材に紛れ込んで侵入しているという。

 セアカゴケグモは外来生物法で「特定外来生物」に指定されており、国などが防除することになっている。ところが、環境省外来生物対策室は「国による防除には優先順位があり、セアカゴケグモは各自治体に防除してもらっている」。愛知県などによると、土地の所有者や管理者が駆除するのが原則で、自治体が駆除するのは公園など公共の場所に限るという。また、厚生労働省は外来生物法で主務官庁とされておらず、「毒グモについて特に保健所に指導はしていない」(地域保健室)のが現状だ。

 セアカゴケグモを長年調査している元大阪府立公衆衛生研究所主任研究員の吉田政弘・いきもの研究社代表は「物流ルートに乗ってまるで野火のように全国に広がっており、このまま放置すれば死者が出かねない。自治体と町内会が定期的に側溝掃除をするだけでも効果は大きい。国も早く省庁横断で防除に取り組むべきだ」と指摘する。(2009年10月30日 朝日新聞)





(´-`).。oO(ついに名古屋にまで進出・・・東京陥落も時間の問題か・・・)
posted by まろんど at 04:31| Comment(0) | TrackBack(0) | クモ・ダニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月28日

網を張る最大のクモを発見

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=6676107&expand

 巨大なメスに小さなオスという奇妙なカップルが動物界で新たに発見された。網を張るクモとしてはこれまで確認された中で最大となるジョロウグモの仲間、ネフィラ・コマチ(Nephila komaci)である。

ネフィラ・コマチ.jpg


 最新の研究によると、ネフィラ・コマチのメスは脚を広げた幅が最大12センチにもなる。一方、ほとんどの時間を妻の背中にしがみ付いて過ごすオスはやっと2.5センチに届く程度だ。

 ネフィラ・コマチはジョロウグモの仲間で、最大で直径1メートルの巣を張ることができる。2000年に南アフリカのある博物館に収められていたコレクションの中から初めて確認された。しかし、2007年に南アフリカのテンベ・エレファント・パークで行われた現地調査で3匹の個体が発見され、野生のネフィラ・コマチが現在も生息していることが初めて確認された。ジョロウグモ属の新種が発見されたのは1879年以来である。

 ネフィラ・コマチは南アフリカとマダガスカルの狭い地域に生息しているが、その地域でもまれにしか見られないと言われており、特にメスは、オスよりはるかに見つかりにくいという。

 その生態にはまだ不明な点が多いが、研究の共著者で、ワシントンD.C.にある国立自然史博物館の上席研究員を務めるクモの専門家ジョナサン・コディントン氏は、メスの体のサイズが極端に大きく進化したのは、体の小さな捕食者からの攻撃を阻止するためと、卵を多く産むためではないかと推測している。

 さらに同氏によると、オスはその1年ほどの生涯を“ある種の頑固な一夫一婦主義者”として過ごすという。交尾する際は、メスが脱皮している最中にオスが行動を起こすのが普通で、「メスは脚と体が柔らかくなっており、オスからの生殖行為を拒むのは難しい。生殖行為が終わると、オスはメスの中に入った自分の生殖器を切り離してメスの生殖器を塞いでしまう」。こうして生殖機能を失ったオスは死ぬまでほかのオスを追い払い続ける。

 オスがこのような戦略を採るとほかのオスは交尾できなくなるはずだが、切り離されたオスの生殖器が体内に複数埋め込まれたメスが発見されたことも何度かあるという。

 結局、今回の新種の発見は「この世界は素晴らしいという証拠が、またひとつ見つかったということだ」とコディントン氏は話している。

 この研究の詳細は2009年10月20日発行の「PLoS One」誌に掲載されている。(ナショナルジオグラフィック ニュース October 22, 2009)





(´-`).。oO(12センチ・・・でかい・・・)
ラベル:新種
posted by まろんど at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | クモ・ダニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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