2010年06月20日

東大、昆虫の社会における「おばあちゃん効果」を発見

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=254282&lindID=4

昆虫の社会における「おばあちゃん効果」の発見 ―ヒトと昆虫の社会をつなぐ―

1.発表者:
 東京大学大学院総合文化研究科 広域システム科学系 博士課程3年 植松 圭吾
 東京大学大学院総合文化研究科 広域システム科学系 助教  柴尾 晴信
 東京大学大学院総合文化研究科 広域システム科学系 教授  嶋田 正和


2.発表概要:
 私たちは昆虫において、雌の成虫が繁殖を終了した後も生存し、自らを犠牲にして他の個体を守るという現象を発見しました。今回の発見は、同じく女性が繁殖終了後も長く生存するヒトの社会の進化に新たな洞察を与える成果であり、繁殖終了後の延命をもたらすメカニズムの解明につながることが期待されます。


3.発表内容:
 ヒトの女性は、閉経を迎え、繁殖能力を失った後も長生きします。しかしながら、繁殖終了後も長く生存することが進化的に維持されているのは大きな謎でした。近年の研究から、閉経後の生存は自らの繁殖を犠牲にしてでも、孫の養育など血縁者の繁殖を助けることにより進化的に維持されているという「おばあちゃん仮説」が提唱されています。繁殖能力を失った個体が血縁者の繁殖を助ける例はヒト、クジラなどの知能の高い哺乳類で知られており、年長者のもつ経験・知識がその進化を可能にしたと考えられています。しかし一方で、哺乳類以外の社会性生物では、繁殖終了後の個体による利他的行動は詳細に調べられていませんでした。

 昆虫においてはアリやミツバチなどで社会性が知られていますが、アブラムシの仲間にも社会性を持つ「社会性アブラムシ(注1)」が存在します。今回我々は、常緑樹のイスノキに虫こぶ(注2)を形成する社会性アブラムシであるヨシノミヤアブラムシ(注3)という種を研究対象としました。本種の虫こぶは1匹の個体から形成され、最終的には数千匹を収容できる巣のような構造になります(図1)。虫こぶの中にいるアブラムシは単為生殖によって増殖するため、1個の虫こぶ内で生息している虫たちは全て同じ遺伝子を持ったクローンの集団です。このヨシノミヤアブラムシにおいて、翅を持たない無翅成虫が、虫こぶの中に侵入する捕食者に対して自己犠牲的な防衛行動を行うことを発見しました。

 無翅成虫の腹部を刺激すると、腹部から粘着性の液体を分泌します(図2)。野外の虫こぶを調べると、分泌液によって捕食者に張り付いている無翅成虫が見られたことから、無翅成虫の分泌行動は外敵に対する防衛ではないかと考えました。そこで、実験室内において天敵のテントウムシ幼虫を虫こぶ内に導入する実験を行ったところ、無翅成虫が張り付くことが、捕食者の虫こぶ内への侵入を防ぐ効果を持つことがわかりました。しかしながら、無翅成虫はいったん敵に付着すると離れることが不可能となり、捨て身で防衛することにより虫こぶ内の他個体を守っています。
 防衛した無翅成虫を顕微鏡下で解剖すると、ほぼ全ての個体が子を産み終えていました。そこで、防衛を行う時期の無翅成虫を実験室内で飼育したところ、大部分の個体が繁殖能力を失った後も長く生存していました。さらに、成虫の体内を組織学的手法で調べた結果、子を産み終えた成虫の腹部は敵に張り付く際に用いる分泌液で満たされていました。したがって、繁殖を終了した成虫が防衛物質を蓄えることで防衛を行うと考えられます。

 以上の結果から、ヨシノミヤアブラムシでは繁殖を終えた雌の成虫が自己犠牲的な防衛を行うことにより血縁個体を助けることがわかりました。ヒトではおばあちゃんが蓄えた知識・経験が社会の中で役立っていますが、ヨシノミヤアブラムシにおいても、加齢に伴い蓄えられた防衛物質が血縁個体を守るのに大きく貢献しています。今回の研究は、知能の高い哺乳類に限らず繁殖終了後の利他行動の進化が可能であることを示すものであり、今後の研究によって、繁殖終了後の延命をもたらす進化学的・生理学的メカニズムの解明にもつながることが期待されます。


4.発表雑誌
 Current Biology誌、オンライン版に6月17日(アメリカ東部時間)掲載予定
 論文タイトル
 “Altruistic colony defense by menopausal female insects”
 (閉経を迎えた昆虫の雌による利他的なコロニー防衛)
 Keigo Uematsu, Mayako Kutsukake, Takema Fukatsu, Masakazu Shimada, Harunobu Shibao


5.用語解説:
(注1)社会性アブラムシ
 ミツバチ、アリ、シロアリ、アザミウマ、寄生蜂、キクイムシなどに加え、アブラムシにも社会性を有するものがいる。社会性昆虫の特徴として、繁殖に専念する個体(例:女王蜂)のほかに、自分の繁殖を犠牲にしてメンバーを助ける利他的階級(例:働き蜂)の存在が挙げられるが、社会性アブラムシの場合、利他行動を行うのは「兵隊」と呼ばれる個体である。兵隊の主な役割は外敵に対するコロニー防衛であるが、巣内の清掃や壊れた巣の修復をする兵隊も知られている。

(注2)虫こぶ
 虫こぶは、昆虫類などの寄生の影響により、植物の芽や葉などの一部がふくれて変形したもので、内部が空洞になっており、そこに暮らす昆虫に食物と住みかを提供する。虫えい(ちゅうえい)やゴール(Gall)と呼ばれることもある。アブラムシにおいては、摂食時に口針から注入される唾液成分によって虫こぶ形成が誘導されると考えられているが、その機構は不明である。

(注3)ヨシノミヤアブラムシ
 アブラムシ科(Aphididae)ヒラタアブラムシ亜科(Hormaphidinae)ムネアブラムシ族(Nipponaphidini)に属する昆虫。学名はQuadrartus yoshinomiyai。常緑のイスノキ(Distylium racemosum)に径3cmほどの不定形の虫こぶを形成する。


 ※図は添付の関連資料を参照

● 関連リンク
東京大学 ホームページ

● 関連資料


(2010/06/18 日経プレスリリース)



(´-`).。oO(おばあちゃんの知恵効果か・・・)
ラベル:新発見
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2010年06月19日

希少チョウ「かわいい」…岡山・新見で観察会

http://osaka.yomiuri.co.jp/animal/genre3/20100613-OYO8T00371.htm

 希少種のチョウ「ウスイロヒョウモンモドキ」の生息地・岡山県新見市土橋で、保護活動をしている住民組織・土橋地区振興会は12日、河辺誠一郎・倉敷芸術科学大教授(環境生物科学)を講師に招き、観察会を開いた。

 このチョウは、モンシロチョウより少し小さく、羽はヒョウ柄。河辺教授によると、約20年前には県内各地に生息していたが、環境の変化で今は3か所程度だという。

ウスイロヒョウモンモドキ.jpg

生息地で花にとまるウスイロヒョウモンモドキ(岡山県新見市土橋で)


 地区の集会所に住民や自然愛好家ら70人が集まり、河辺教授らから県内の昆虫分布や保護の課題などを聞いた後、近くの生息地へ。

 今年は天候不順で羽化が1週間ほど遅れ、ほとんど見られなかったため、河辺教授が昨年、この生息地から成虫を持ち帰り、研究室で一足早く羽化した数匹を放した。参加者は「きれい」「かわいい」などと声を上げ、写真に収めていた。20日頃から本格的に羽化が始まり、6月末頃まで観察できる。

(2010年6月13日 読売新聞)



(´-`).。oO(地味な蝶ですね・・・)
ラベル:希少種
posted by まろんど at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月18日

山口県がカメムシ注意報発令

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201006120004.html

 山口県は11日、果樹に被害を与えるカメムシ類が大量発生する恐れがある、として県全域に注意報を発令した。現行の調査方法となった2002年以降で最も多く発生する可能性があるとしており、防除や袋かけ作業の徹底を呼び掛ける。

 県農業振興課によると、県病害虫防除所(山口市)が6月上旬までの約1カ月間に県内4カ所で調査。平年の約4倍に当たる計2018個体を確認した。昨年は餌となるスギやヒノキの花粉の飛散量が多く、成虫が越冬しやすかったのではないかとみている。

 ナシやモモ、リンゴの果実がカメムシに養分を吸われると、落果したり、果肉がスポンジ状になったりする。

('10/6/12 中国新聞)



(´-`).。oO(やな注意報ですね・・・)
ラベル:害虫
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2010年06月17日

ハッチョウトンボ また益田に…島根

http://osaka.yomiuri.co.jp/animal/genre3/20100615-OYO8T00436.htm

 体長は1円玉大で、国内最小のトンボ「ハッチョウトンボ」が、今年も島根県益田市内に姿を見せ、島根写真作家協会理事の吉崎佳慶(よしのり)さん(69)(益田市久城町)が撮影した。環境の変化に敏感で、「しまねレッドデータブック」で準絶滅危惧種とされるが、同市では観察地点が増えているという。

ハッチョウトンボ.jpg


ハッチョウトンボ mesu.jpg

ハッチョウトンボのオス(上)とメス(益田市内で)=吉崎さん撮影


 羽を広げても3センチ程度で湿地帯を好み、オスは鮮やかな赤色、メスは黄褐色と黒のまだら模様。吉崎さんは小学校長だった10年前にこのトンボと出会い、「ハッチョウトンボを守る会」をつくって保護、観察を続けてきた。

 昨年までは、同市の真砂、中西地区で確認したが、今年は小野地区でも撮影に成功。吉崎さんは「ほかにも生息地があるかもしれない。見つけたら連絡してほしい」と話している。連絡先は、090・1682・2577。

(2010年6月15日 読売新聞)



(´-`).。oO(増えてるのか・・・?)

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